最近、SNSで「ドパガキ」という言葉をよく目にするようになりました。
「ドーパミン中毒のガキ」を縮めたネットスラングで、ショート動画、SNS、音楽、配信などから絶えず刺激を求め、一瞬の退屈にも耐えにくくなっているような状態を、揶揄したり自虐的に表現したりするときに使われています。
2026年9月15日には、ITmedia Mobileも「一瞬の退屈も我慢できない」SNS中毒として「ドパガキ」を取り上げ、無限スクロール、自動再生、プッシュ通知など、現代のSNSが長時間利用につながりやすい仕組みを備えていることを紹介しています。ITmedia Mobileの記事を読む
もちろん、「ドパガキ」は医学的な診断名ではありません。「ドーパミンが出すぎて脳が壊れた」というような単純な話でもありません。
ただ、この言葉が今になって広がっているのを見て、僕は思いました。
「ああ、これは僕が昔から言ってきたことと、かなり重なるな」と。
僕は2020年に「SNSは海、餌には釣り針がある」と書いていた
僕は2020年2月17日、「サヨナラ・モンスター」の公式サイトで、SNSを「海」に例えた記事を書きました。
そこでは、SNSという海にたくさんの「お魚さん」が泳いでいて、目の前に落ちてくる「餌」に食いつく。その餌には、ときに「見えない釣り針」がついている、という比喩を使いました。

「釣り針」に関しては他にも別ブログに投稿していました。
当時僕が伝えたかったのは、「SNSには、人が思わず反応したくなる情報が大量に流れている」ということです。
- 怒りたくなる話
- 怖くなる話
- 誰かを批判したくなる話
- 性的な刺激
- 「続きが気になる」と思わせる情報
- 承認欲求を刺激するもの
- 数秒で笑える動画
- 次から次へと見たくなるショート動画
もちろん、こういうものに興味を持つこと自体が悪いわけではありません。
人間ですから、面白いものがあれば見たくなります。笑いたいし、楽しみたい。刺激的なものに注意が向くことも自然です。
僕にも、その気持ちはよく分かります。
問題は、「それだけ」になってしまうことです。
2020年の「釣り」の比喩を、2026年のSNSに置き換えるとこうなる
2020年の記事では、仕掛ける側が釣竿を左に振れば、釣り針が刺さっている側も左へ動く、という比喩を書きました。
今のSNSに置き換えると、この構造はさらに分かりやすくなります。
- 海=SNSという巨大な情報環境
- 魚=僕たち利用者
- 餌=ショート動画、炎上、恐怖、怒り、性的刺激、通知、「続きが気になる」投稿
- 食いつく=見る、タップする、いいねする、コメントする、繰り返し見る、長く滞在する
- 釣り針=その刺激に反応する習慣と、蓄積される行動データ
- 釣竿=推薦アルゴリズム、無限スクロール、自動再生、通知
- 竿を右へ振る=「この人には次にこれを見せれば反応する」とシステムが提示する方向を変える
- 魚が右へ動く=提示された方向へ、自分の注意、感情、時間をさらに移していく
では、なぜ「餌に食いつく」と“ドパガキ化”につながるのか?
ここをものすごく簡単に説明すると、こういうことです。
たとえば、数秒で笑える動画を見る。面白かったので次を見る。また次を見る。少し退屈になると、すぐにスワイプして別の刺激へ移る。
これを何度も繰り返すと、SNS側は「この人は、こういう短くて強い刺激に反応する人なんだ」と学習して、さらに似たものを表示するようになります。
つまり、
- 短い刺激に食いつく
- すぐ次の刺激を求める
- SNSがさらに食いつきやすい刺激を出してくる
- また食いつく
- それが習慣になる
という循環ができていきます。
そして、このような使い方に偏っていくと、「少し退屈でもその場に留まる」「長い文章を読む」「一つの問題についてじっくり考える」といった、すぐには刺激や答えが返ってこない活動を、以前より面倒に感じる可能性があります。
俗に言われる「ドパガキ化」は、かなり大雑把に言えば、こうした「短い刺激 → すぐ次へ → また刺激」という使い方に偏っていく状態を指しているわけです。
そして僕が昔から使ってきた「釣り針」の比喩で言えば、釣り針とは一回動画を見ただけで突然刺さる魔法のようなものではありません。
自分が何度も食いつくことで、その反応が学習され、さらに食いつきやすい餌が目の前に落ちてくるようになる。その循環そのものが、現代版の「釣り針」に近い。
だから大切なのは、SNSを全部やめることではありません。
「今、自分は何に食いついているのか」「短い刺激だけに偏っていないか」と、ときどき自分で気づくことです。
昔の釣り人なら、「この辺に魚がいるかな」と考えて餌を投げるしかありませんでした。
今は違います。
一匹一匹の魚が、何に食いついたのかを記録できます。
この人は怒りに反応する。
この人は恐怖に反応する。
この人は性的刺激に反応する。
この人は10秒の面白動画を繰り返し見る。
この人は誰かを批判する話題になるとコメントする。
そうした行動をもとに、次に表示される情報が個人ごとに変わっていく。
つまり、現代のSNSでは、こんな自己強化ループが起こり得ます。
- 餌に食いつく
- その反応がデータとして蓄積される
- 似た刺激や、さらに反応しやすい情報が提示される
- また食いつく
- さらにその傾向が学習される
魚が餌を選んでいるように見えて、釣る側のシステムもまた、「その魚が次に食いつきやすい餌」を選び続けているわけです。
「SNSは依存しやすいように設計されている」は、もはや単なる比喩ではない
ここで大切なのは、「巨大企業が悪人だから」という単純な善悪の話にしないことです。
SNSには、利用時間、広告表示、再生回数、エンゲージメントなどを高める経済的なインセンティブがあります。そして、その目的に合うように、利用者が離脱しにくい機能が発達してきました。
2026年2月、欧州委員会(European Commission:欧州連合の行政執行機関)は、TikTokについて、無限スクロール、自動再生、プッシュ通知、高度に個人化された推薦システムなどを含む「addictive design(依存を促す設計)」が、EUのデジタルサービス法(Digital Services Act)に違反しているとの暫定判断を公表しました。
欧州委員会:TikTokの依存的設計に関する2026年2月6日の公式発表
さらに2026年7月10日には、InstagramとFacebookについても、無限スクロール、自動再生、プッシュ通知、高度に個人化された推薦システムなどを対象として、依存的設計に関する暫定判断を公表しています。
欧州委員会:Instagram・Facebookの依存的設計に関する2026年7月10日の公式発表
ここで「暫定判断」と書いているのは重要です。最終的な法的判断が確定したという意味ではありません。
それでも、僕が2020年に「餌」「釣り針」「釣竿」と表現していた現象の一部が、2026年には「無限スクロール」「自動再生」「プッシュ通知」「推薦システム」「依存的設計」といった具体的な言葉で、公的機関から問題として扱われるところまで来たのです。
そして今、「ドパガキが増えた」と言われ始めた
ここで、現在の研究を見るとさらに興味深いことが分かります。
2025年、オーストラリアのグリフィス大学(Griffith University)応用心理学部(School of Applied Psychology)のラン・グエン(Lan Nguyen)らは、ショート動画利用と認知機能・メンタルヘルスの関連について、71研究、合計98,299人のデータをまとめたシステマティックレビュー・メタ分析を、米国心理学会(American Psychological Association)が刊行する学術誌『Psychological Bulletin(心理学分野の主要レビュー誌)』に発表しました。
その結果、ショート動画の利用が多いことは、認知機能の低さと中程度の関連を示しました。特に関連が強かったのが、注意と抑制制御でした。
認知機能全体との関連は r = -0.34、注意は r = -0.38、抑制制御は r = -0.41 と報告されています。
これは重要な結果です。
ただし、ここで絶対に飛躍してはいけません。
この結果は、「ショート動画を見れば脳が壊れる」と証明したものではありません。
「ショート動画の利用が多い人ほど注意や抑制制御が低い傾向がある」という関連が確認されたのであって、どちらが先なのか、どの程度が因果なのか、他の要因がどれだけ関与しているのかについては、さらに長期的・実験的な研究が必要です。
それでも、短い刺激を次々と切り替える生活と、注意・抑制制御との関係を無視できる段階ではありません。短絡だけではよくない。
だから僕は昔から「長文を読んだほうがいい」と言ってきた
僕が長文を読むことを大切にしてきたのは、「長い文章を読める人のほうが偉い」という話ではありません。
長文を読むときには、短い刺激を次々に切り替えるときとは違うことをします。
- 少し前に読んだ内容を頭に残しておく
- 前の段落と今の段落をつなげる
- 筆者が何を言おうとしているのか考える
- すぐに答えが出なくても読み続ける
- 複数の情報を比較する
- 自分の知識と照らし合わせる
- 途中で自分の考えを修正する
- 最後まで読んで全体像を作る
これは「数秒で刺激を受け取って次へ進む」という使い方とは、かなり性質の違う認知活動です。
2025年に学術誌『Learning and Individual Differences(学習と個人差を扱う国際学術誌)』に掲載された研究でも、書籍を読む習慣と持続的注意は、複数のデジタル文書を統合して理解する力を正に予測していました。
2025年「書籍読書・持続的注意と複数文書理解」の研究を確認する
だから僕は、「短いものを見るな」と言っているのではありません。
短いものだけに偏らないほうがいいと言っているのです。
「脳のバランス」という言葉を、もう少し正確に説明すると
僕は分かりやすく「脳のバランス」と表現することがあります。
これは、「ショート動画を見ると脳の一部分が壊れる」という意味ではありません。
僕が言いたいのは、日常生活の中で使う認知活動を、一種類に偏らせないということです。
刺激。
即時報酬。
スワイプ。
次。
また次。
これだけではなく、
- 長く注意を維持する
- 覚えておく
- 思い出す
- 読む
- 書く
- 声に出す
- 比較する
- 考える
- 問題を解く
- 身体を動かす
こうした異なる活動も日常の中で使っていく。
僕が言う「バランス」は、そういう意味です。
読む。書く。音読する。問題を解く。そして歩く
僕は昔から、読み書き、音読、問題解決、ウォーキングのようなことを大切にしてきました。
(サヨナラ・モンスター)(トラウマ転換ウォーキング)
今の研究を見ても、この方向性にはそれぞれ理由があります。
1.読む――すぐに報酬が来なくても、文脈を追い続ける
長文を読むという行為では、前後の文脈を保持しながら意味を構築していきます。
すべてを長文にする必要はありません。しかし、「結論だけ」「要約だけ」「15秒だけ」ではなく、自分で文章を追い、考える時間を意識的に残しておくことには意味があります。
2.書く――受け取るだけではなく、自分から情報を組み立てる
書くことは、受動的に情報を浴びるのとは違います。
何を書くのかを選び、言葉を探し、順序を決め、自分が何を考えているのかを外に出します。
とくに、自分の経験や感情を文章にする「表出筆記(expressive writing)」については、米国シラキュース大学(Syracuse University)のリン・グオ(Lin Guo)による2023年のメタ分析で、31の実験研究、4,012人を統合した結果、抑うつ・不安・ストレス症状に対して小さいながら有意な改善効果が報告されています。
表出筆記31研究・4,012人のメタ分析をPubMedで確認する
もちろん、どんな書き方でも万能に効くという話ではありません。
それでも、「書く」という行為が単なる古い習慣ではなく、心理学的にも研究され続けていることは知っておいてよいと思います。
3.手で書く――タイピングとは違う感覚運動情報を使う
2024年、ノルウェー科学技術大学(Norwegian University of Science and Technology)発達神経科学研究室(Developmental Neuroscience Laboratory)の研究では、大学生36人を対象に高密度EEGで脳活動を調べたところ、タイピング時と比べ、手書き時にはより広範な脳内接続パターンが観察されました。
ノルウェー科学技術大学の手書きと脳内接続の研究をPubMedで確認する
これも「手書きなら頭が良くなる」と単純化するべきではありません。
ただ、キーボード入力と手書きでは、脳と身体が行っている処理が完全に同じではないということです。
4.音読する――少なくとも記憶には「産出効果」がある
音読についても研究があります。
カナダのウォータールー大学(University of Waterloo)心理学部などの研究者による2024年の研究では、文章を声に出して読むことで、黙読した場合よりも文章中の情報を記憶しやすくなる「産出効果(production effect)」が確認されました。
一方で、文章の「理解」そのものについては、音読による明確な優位性は確認されませんでした。
ウォータールー大学などの「音読は記憶を高めるが理解には優位性を示さなかった」研究を確認する
このように、「音読は万能」と言う必要はありません。
記憶に残したいところを声に出す。黙読と使い分ける。それくらいの現実的な使い方でよいと思います。
5.問題解決――誰かの答えを受け取るだけで終わらせない
僕が特に大切だと思っているのが、問題解決です。
SNSでは、誰かが作った答えが数秒で飛んできます。
「この人は○○だ」
「原因はこれ」
「これだけやればいい」
「あなたが苦しい理由はこれ」
短く、強く、分かりやすい。
だから食いつきやすい。
しかし現実の問題は、多くの場合そんなに単純ではありません。
問題解決では、自分で情報を集め、重要なものを選び、仮説を立て、比較し、試し、間違っていれば修正する必要があります。
これはまさに「餌を待って口を開ける」のとは反対方向です。
誰かから答えを与えてもらうだけではなく、自分で考えて、自分で生み出す側へ回る。
僕はこのことをずっと大切にしてきました。
6.歩く――画面から離れ、身体と脳を一緒に使う
そしてウォーキングです。
2025年、英国ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のモハメド・ヘシャム・カリル(Mohamed Hesham Khalil)が発表したシステマティックレビューでは、人を対象とした12研究を検討し、全体としてウォーキングが海馬形成の体積にプラス方向の影響を示したとまとめられています。
ケンブリッジ大学の「ウォーキングと海馬形成の体積変化」システマティックレビューを確認する
海馬は記憶や学習、空間認知などに深く関わる脳領域です。
さらに、45歳以上の健康な中高年を対象とした42件のランダム化比較試験、計2,881人を統合した2024年のメタ分析では、有酸素運動によって、認知的柔軟性、ワーキングメモリ、抑制制御が改善していました。
42件のランダム化比較試験・2,881人を統合した有酸素運動と実行機能のメタ分析を確認する
これらは、前頭前野を含むネットワークが支える「実行機能」と深く関係する能力です。ただし、「歩けば前頭前野が単純に強くなる」と一つの脳部位だけで説明するのは正確ではありません。認知機能は複数の脳領域とネットワークの協調で成り立っています。
7.運動と脳血流――「歩けば血流が良くなる」も単純化しすぎない
運動と脳血流についても、少し丁寧に言う必要があります。
2023年のシステマティックレビューでは、52研究・合計1,174人を検討した結果、一回の心血管運動に伴う脳血流の変化は単純な右肩上がりではなく、運動強度などによって変わる「逆U字型」の傾向がまとめられています。
心血管運動と脳血流52研究のシステマティックレビューを確認する
また、運動トレーニングに関する45の介入研究をまとめたレビューでは、全脳の血流が一様に増えるというより、前帯状皮質や海馬など一部の領域で脳血流の増加が比較的一貫して観察されています。
運動トレーニングと脳血流45介入研究のシステマティックレビューを確認する
つまり、「歩けば脳の血流が全部一律に増えて頭が良くなる」という説明は雑です。
それでも、身体活動が脳血管機能、海馬、実行機能など複数の経路と関係していることは、かなり研究されています。
僕が言っているのは「脳トレをやれ」という話でもない
ここも誤解されたくないところです。
僕が言いたいのは、特殊なアプリで毎日「脳トレ」をすれば全部解決する、という話ではありません。
もっと生活そのものの話です。
- まとまった文章を読む
- 自分の言葉で書く
- 必要なら声に出して読む
- 目の前の問題について考える
- すぐに答えを検索する前に、自分なりの仮説を作る
- 間違いに気づいたら修正する
- 画面から離れて歩く
- 睡眠や休息も取る
そうやって、一つの刺激形式だけに自分の注意を預けないことです。
「餌を投げる側が悪い」で終わると、大事なところを失う
僕は2020年の記事でも、「仕掛ける側」だけを見るのではなく、「仕掛けられる側」も見ることを書きました。
これは今も変わりません。
SNS企業は、利用者が反応しやすい仕組みを作ります。
広告を出す側も、人がクリックしたくなる見出しを考えます。
投稿者も、再生されるために最初の1秒、最初の1行、強い言葉、怒り、恐怖、意外性を使います。
僕自身も、情報を発信する以上、「どうすれば読んでもらえるか」は考えます。
だから、仕掛けること自体を全部「悪」にしても話は進みません。
重要なのは、受け手である自分にも選択が残っていることです。
餌は飛んできます。
けれども、そのすべてに食いつく必要はありません。
一つ見る。
もう一つ見る。
またスワイプする。
怒ってコメントする。
寝る直前まで見る。
起きた瞬間から見る。
そうした小さな行動の積み重ねが、推薦システムに「自分は何に反応する人なのか」を教えていきます。
逆に言えば、行動を変えれば、流れも少しずつ変えられます。
「ドパガキ」という言葉で人を馬鹿にするだけでは何も解決しない
僕は、「ドパガキ」という言葉で誰かを見下したいわけではありません。
むしろ、食いついてしまう気持ちは分かります。
面白い。
楽しい。
次が気になる。
嫌なことを忘れられる。
退屈しない。
誰かとつながっている感じがする。
そういうものが、いつでもポケットの中にあるのです。
簡単に「見るな」で済む話ではありません。
だから僕が伝えたいのは、禁止ではなく「取り戻すこと」です。
注意を取り戻す。
読む力を取り戻す。
書く力を使う。
考える時間を取り戻す。
身体を動かす。
そして、自分で選ぶ感覚を取り戻す。
SNSという海から餌はなくならない。だから自分で選ぶ力を残しておく
SNSという海から、餌がなくなることはおそらくありません。
むしろAIによる個人最適化がさらに進めば、一人ひとりに合わせた「もっと食いつきやすい餌」を大量に作ることは、今まで以上に簡単になるでしょう。これからが本番かもしれない。
だから重要なのは、外側から餌がなくなることを期待することではありません。
自分が何に食いついているのかを知ること。
そして、ときには食いつかないことです。
ショート動画を見る時間があるなら、その一部で長文を読む。
ショート動画や短文を10個見たら、長文も10記事読む。本を読む。
誰かの意見を数秒で受け取るだけではなく、自分でも書く。アウトプットする。
書き出していますか?
必要な部分は声に出して読む。
頭の中だけでぐるぐるさせず、問題を書き出し、自分で解決を考える。
そして外へ出て歩く。
短い刺激を楽しむことと、長く考えることは両立できます。
どちらか一方を全部捨てる必要はありません。
大切なのは、片方だけに偏らないことです。
2020年に僕が書いた「海・魚・餌・釣り針」は、今こそ分かりやすい
2020年、僕はSNSを「海」に例えました。
魚の前には餌が落ちてくる。
その餌には、ときに見えない釣り針がついている。
そして2026年。
「ドパガキ」という言葉が広がり、無限スクロール、自動再生、推薦アルゴリズム、依存的設計、ショート動画と注意・抑制制御の関連まで、あの頃よりはるかに具体的な形で見えるようになってきました。
だから今、僕は改めて言いたいと思います。
短いものを見るな、ではありません。
短いもの「だけ」に自分を預けないことです。
長文を読もう。
書こう。
必要なら声に出して読もう。
自分で考えよう。
問題を解こう。
そして歩こう。
餌に反応するだけの一日から、自分で選び、自分で考え、自分で生み出す一日へ。
SNSという巨大な海の中でも、釣り針に引かれる方向だけが、自分の進む方向ではありません。
参考文献・参考リンク
- ITmedia Mobile(2026年9月15日)「一瞬の退屈も我慢できない」SNS中毒“ドパガキ”ってなんだ? 記事を読む
- 菅原隆志(2020年2月17日)「SNSは『海』のようなもので…」サヨナラ・モンスター公式サイト 元記事を読む
- Nguyen L, et al. (2025). Feeds, feelings, and focus: A systematic review and meta-analysis examining the cognitive and mental health correlates of short-form video use. Psychological Bulletin, 151(9), 1125-1146. PubMed
- European Commission (2026-02-06). Commission preliminarily finds TikTok’s addictive design in breach of the Digital Services Act. 公式発表
- European Commission (2026-07-10). Commission preliminarily finds the addictive design of Instagram and Facebook in breach of the Digital Services Act. 公式発表
- The role of digital media use in multiple digital documents processing. Learning and Individual Differences (2025). ScienceDirect
- Guo L. (2023). The delayed, durable effect of expressive writing on depression, anxiety and stress: A meta-analytic review. PubMed
- Van der Weel FRR, Van der Meer ALH. (2024). Handwriting but not typewriting leads to widespread brain connectivity. PubMed
- Roberts BRT, et al. (2024). Reading text aloud benefits memory but not comprehension. PubMed
- Khalil MH. (2025). Walking and Hippocampal Formation Volume Changes: A Systematic Review. PubMed
- Ye M, et al. (2024). Effects of aerobic exercise on executive function of healthy middle-aged and older adults: A systematic review and meta-analysis. PubMed
- Effect of acute cardiovascular exercise on cerebral blood flow: A systematic review. (2023). PubMed
- Kleinloog JPD, et al. (2022/2023). Effects of Physical Exercise Training on Cerebral Blood Flow Measurements: A Systematic Review of Human Intervention Studies. PubMed
※本記事は、ネットスラング「ドパガキ」を医学的診断名として扱うものではありません。また、ショート動画利用と認知機能の研究については、関連が確認されていても、それだけで個人レベルの因果関係を断定することはできません。研究結果の強さに合わせて記述しています。
- 1. ITmedia Mobileの記事を読む https://www.itmedia.co.jp/mobile/amp/2609/15/news032.html
- 2. 検索結果: 釣り針 | 幸せの種「気づき」 https://bright-ms.net/?s=%E9%87%A3%E3%82%8A%E9%87%9D
- 3. 欧州委員会:TikTokの依存的設計に関する2026年2月6日の公式発表 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/commission-preliminarily-finds-tiktoks-addictive-design-breach-digital-services-act
- 4. 欧州委員会:Instagram・Facebookの依存的設計に関する2026年7月10日の公式発表 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/commission-preliminarily-finds-addictive-design-instagram-and-facebook-breach-digital-services-act
- 5. グリフィス大学の2025年メタ分析をPubMedで確認する https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41231585/
- 6. 2025年「書籍読書・持続的注意と複数文書理解」の研究を確認する https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1041608025001268
- 7. 表出筆記31研究・4,012人のメタ分析をPubMedで確認する https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36536513/
- 8. ノルウェー科学技術大学の手書きと脳内接続の研究をPubMedで確認する https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38343894/
- 9. ウォータールー大学などの「音読は記憶を高めるが理解には優位性を示さなかった」研究を確認する https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37440162/
- 10. ケンブリッジ大学の「ウォーキングと海馬形成の体積変化」システマティックレビューを確認する https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39851420/
- 11. 42件のランダム化比較試験・2,881人を統合した有酸素運動と実行機能のメタ分析を確認する https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39326271/
- 12. 心血管運動と脳血流52研究のシステマティックレビューを確認する https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37003561/
- 13. 運動トレーニングと脳血流45介入研究のシステマティックレビューを確認する https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36170974/

